2008年 10月 16日
潮目 |
古山君は無産者なので、有産者の方々よりは目が曇っていないのではないかと思います。えっへん。
では今後
どうなるのだ。という訳ですが、私は予想屋ではないので明日の株価は解りません。そのかわりに思い出したのは、技術革新の歴史に関する話です。
もう10年以上前の、まだパーソナルコンピュータが「過渡期」にあった頃の話です。そのころ、「新技術が世に出てから、成熟期になるまでには20-25年が必要」という話をどこかで読んだことがありました。今になって振り返ると、成る程このところ新しいOSの発売に列が出来ることも無く、誰もがうんざりしている様です。新しいMacBookといっても製造工程の革新ではありますが、それ以上のワクワクドキドキがある訳ではありません。なによりApple Computer Inc.がApple Inc.になっちまったのです。
そのあたりからNY株を振り返ってみたのが上のチャートです。出所はBigCharts.com。これでこの40年程を振り返ってみると、「新技術が世に出てから、成熟期になるまでには20-25年が必要」がおぼろげながら見えてくる様な気がします。
1980年頃までの米国の株式市場は、上下はあるものの、成熟した工業社会、という安定期にあった様です。これがそのまま続けばAのラインが現在も株価水準となっているはずです。もっともこれは米国内から眺めたもので、1973年には360円近くだった為替相場を掛けると別の図も書ける訳ですが。
それが1977年のAppleII,1980年のms dos、1983年のApple Macintoshあたりから、新たな動きが始まります。米国経済が工業から情報産業へ軸足を移し始めた、と言って良いでしょう。それから25年、実体経済からそれほど乖離していなかった、投資の世界は様変わりしてしまいました。実体経済抜きに、情報だけで世界経済が動く様になってしまったのです。現在の日米間の為替決済額が貿易決済の7倍、石油の先物市場規模が実需用の8倍と、金融経済のギャンブル化が進みました。
さて、「新技術が世に出てから、成熟期になるまでには20-25年が必要」説を国際金融に当てはめてみると、情報産業は、そろそろ成熟期に入ろうとしているのではないでしょうか。上の図に描き込むとBのラインがそれです。実体経済を支える資金需要の6-7倍が、ギャンブル需要ということになります。
それでは95年頃からのBラインを超える株価は、どこからもたらされたか、というと、図の下に示された取引高から、説明がつきそうです。過去10年余の株価上昇は、インターネットの普及と時期が重なります。そしてこれが取引高の変化を、説明出来る様な気がします。それまで一部の人に限られていた、株で儲ける、というギャンブルが、米国民全般に広まってしまったのですね。
パーソナルコンピュータが過渡期から成熟期に入ると同時に、インターネットによる個人投資家のギャンブルも上がったり下がったりの安定期に入るのではないでしょうか。
米国では共和党政府が、金融危機への公的資金投入を決めました。「自由主義経済の盟主を持って任ずる主権国家が、国際金融資本に蹂躙された。」という見方もありますが、「高度に発達した資本主義経済が、唯物弁証法的に進化して計画経済へ移行する」とも言えそうです。ヨーロッパではマルクスさんの「資本論」が再び人気を呼んでいるとも。しかし今や北京政府が「共産主義宗家」の金看板を高く掲げても、高度経済成長に走る庶民からすれば「計画経済ってのは、お上の言うこと聞けってこったろ。」と,中国8,000年の歴史に飲み込まれようとしております。
by dehoudai
| 2008-10-16 21:19
| にゅーす
|
Comments(0)