2019年 05月 19日
動物園 |
怪獣君2号をなんとかせい、というので動物園へ行くことに。
康徳8年(昭和16年)我が家は動物園の隣にある新京東安街の政府職員官舎に引っ越した。村上春樹が
村上春樹
満州の光と陰
コレクション戦争X文学集英社 2012年 所収
の舞台に使ったのがここだ。
その後浜松市の中心市街地に引っ越しても、我が家の前は動物園の馬糞置場だった。今では動物園は舘山寺へ引っ越したが、30分も走らないで、動物園へ行ける。
象は何をしているのかと思ったら、塀の外の葉っぱを食おうというのだ。 浜松市の都市計画・建築部署には新京で国都建設に携わった人もいるというので、動物園の畜舎にも新京動物園の計画・設計の流れが残っているかも。 たぬき坂には魚あらの支店があるのだが、本店のように浜名湖の絶景を眺めながら、というわけにはいかない。食べ物の味が景色で違うこともあるだろう。 自宅にたどり着くとパトカー数台。何事ならんと思いしに、公園でトラブルがあり、駐車場入り口が順番待ちでこっちへ止めたようだ。
190520
もう一度振り返って一番興味深かったのはマーモセットだった。身の丈20cmほどで、500円玉くらいの頭に100円玉くらいの顔が付いているのだが、顔のプロポーションなどが人間に近い。子供は可愛いだけだろうが、それが歳を取ると、実に思慮深い顔付きになる。図は甲府の動物園で子育て中の母親だそうで、やっと母親の苦労のわかる年頃、という顔をしている。
浜松動物園には老猿もいる。人間だけが「神に選ばれた生き物」と考えるのは聖書の世界であって、仏教のように人間も猿も同じ衆生、と考える方が自然ではなかろうか。それが考え深げな、人智の及ばぬ顔でこちらを見ているのは奇妙なものだった。ニューギニアのどこかでは、人の掟に背いて他人の妻と森に逃げ込んで暮らすものも「森の人」と呼ぶそうで、類人猿の「森の人」つまりオランウータンと区別しないそうだ。アマゾンの奥地で老猿が100円玉くらいの思慮深い顔でこちらを見ていたら、カミサマと思えるだろう。
by dehoudai
| 2019-05-19 16:20
| きせつ
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