2018年 01月 22日
透明通信 |
鈴木翁二
青林堂 1992年9月20日 第1版
旧東海道を赤坂から国府まで歩いてみて、頭に浮かんだのが本書です。元々は1985年の出版だったものが、長井勝一さんが編集長を引退してから再度第1版として出たものの様です。
この手の漫画はページをめくるたびにするりと何かが抜け落ちていって、抜け落ちたものの方が大事なものなのかもしれません。
こうした絵は20代だと書けますが、30代になると賢くなると言いましょうか、頭の中で目詰まりのようなことが起こって、書けなくなることもあるかもしれません。巻頭カラーの「耳」というのがその辺りかも。
ガロに年表が載っていたようです。
180124
住んでいるのはさみしい町で、街灯の下にも人通りはありません。
賑やかな街には特急電車が走っています。
そしてどこからかわからない、正体のわからない人が、あなたをさらっていくかもしれません。
賑やかな街には特急電車が走っています。
そしてどこからかわからない、正体のわからない人が、あなたをさらっていくかもしれません。
よっちゃん西尾にサーカスが来たげなというキャプションで作者があの辺りの人だとわかります。
吉良湊の近くでしょう。尾崎士郎の「人生劇場」でも描かれた様に、江戸時代に栄えて、明治からこっちその反動の波をかぶった土地柄かもしれません。 御油のあたりにも似た空気が流れているようです。そして爆心地から3km程の三河国分尼寺跡の展示施設で店番をしていた人も同世代でしょうか。豊川大空襲の話をしていると、ふと
原爆じゃなくて良かった。と口にしていました。浜松からも音が聞こえ、その後の煙が見えたというので、鈴木翁二さんの在所でも音と煙は解ったでしょう。そしてそんな話も古い町並みには染み込んでいるはずです。
東電福島第一の水素爆発は40km離れていても解ったそうです。
昔、原発というものがあってね、
という時代が何時になったら来るものやら。
ガロに年表が載っていたようです。
180124
大正ロマンの残り香で「遠い国」を夢見、関東大震災の後の軍靴の音に不安を覚える、やはり20代の若者を描いたこの映画にも同じ「透明感」「不安」が流れているのではないでしょううか。
by dehoudai
| 2018-01-22 12:47
| ほん
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