2017年 12月 01日
幕府衰亡論1 |
第1章では「封建」と「尊皇」について概観する。家康公が天下を統一した時、天下経営の秘策・大計は封建制ではなく、封建を徐々に減滅することにあったと論ずる。
封建の制度を行はれたるは是勢いの然らしむる所にして固より家康公の意に非ざりしこと事實に於いて明らかなり
鎌倉の頃よりして足利織田豊臣の諸氏に渉り數百年の間に養成したる封建の勢いは決して一朝一夕に破却し得べきに非らず、これを破却せんと欲すれば忽ちに天下の大亂を招く。
織田豊臣の頃より割據したる諸大名ありて動かすべからざるを以て、家康公も其勢いに由て其諸子親戚功臣の輩を大名に封じ、所謂御家門御譜代を以て外様を控制し、巧みに地理を案じて其封土を定められたり。
諸侯に對するに厳重なる憲法を制して之を授け、苟も少にても是れに違ふ者あれば容赦なく其領地を削り、或いは國替を命じ或は改易に處して毫も恕する所なかりき。諸大名を代謝せしむる間に漸次に廢絶を行なひ、遂に諸侯なからしめて封建の跡を斷つに至ること家康公の初志にして、即ち遺訓の大秘計なりき。
封建の制度に於ては、假ひ子弟たりとも親戚たりとも功臣良相たりとも既に是に封土を與へて大名たらしむる以上は、いつ何時我敵たらんも計り難しと覺悟して是れに備ふるは幕府たるものが當然の用心なるのみ。
とまあ徳川280年の天下泰平は「仕方がない。」「我慢。」ということで支えられ、これが現在の日本人の心性にも染み付いている。BGMは伽蘿先代萩だの菅原伝授手習鑑だのといくらでもある。それもこれも「戦争をしない国」という我が国の国粋を守るためだ。
拙者母上様は生前寺子屋の段が「悪趣味だ。」と嫌っておった。御世継様を生んだからには当家は私のもの、と心得ていたから、主君の為には我子を身代わりにしなければならないのは悪趣味だったろう。これが当たり狂言になったには百姓町人の
武士だと威張っておるが、主君の為には我が子を殺すなど、畜生にも劣る。俺あ素っ町人で幸せだ。
という拍手喝采も混じったおったろう。拙者は家督も継がず幸いだったが、在所には
男子は産まなんだが、私は御生母様じゃによって家屋敷火鉢の灰までわらわのものじゃ。
というのが乗り込んで来て、亭主の体内からタンパク質を吸い取ってしまったので、義太夫語り二代目吉川清助は目も見えず、耳も聞こえぬとなったのは恐ろしいことである。
次に徳川家の勤皇について述べる。
尤も朝廷に直仕し奉りし公卿たち、或いは京都に住居し叉は縷々往復して眼のあたりに朝廷の御有様を見奉るものは幕府の全盛に比較して慷慨悲憤の感を起こせるに相違なきも、さる輩は日本人民中に其數幾許も無かりし、その多數は如何と云へば其實は朝廷の尊きを知りし迄にて天子様は神様なりと心得たるに過ぎざりき。況や関東の武士百姓は將軍あるを知りて天子あるを知らざりしに於てをや。
是故に幕府が奬勵したる學問は三百年間に於て忠孝の道を明らかにし、社会の道義を進め、文明の開化を導たる効能と共に幕府の上に朝廷あり、朝廷は眞實なる君主なりと云う事を知らしめ、以て勤王の精神を發揚せしめたりき。
幕府輔佐の臣が將軍家を諫むるには日光様(家康公の事)に對して相濟ますまい。京都よりの御沙汰あらば如何遊ばさるゝ歟の二語に過ぎざりき。
學問上よりするも、慣例上よりするも、萬一にも朝敵と云う悪名を京都より下さるヽ時は、将軍家たりとも公方様たりとも天地間に身を容るヽ所なし
ということでこれも「仕方がない。」「我慢。」が根本だ。
このところ同年輩の友人の間にもファミリーヒストリーを尋ねることが流行っている。
今のうちに言っておかねば。
と
今のうちに聞いておかねば。
が出会っているのだが、団塊の世代は戦争の話を聞いた最後の世代、ということになるのだろう。我々がきちんと父母の教えを伝えなければ、「戦争をしない国」という我が国の国粋も、どうなることか解ったものではない。
関ヶ原の戦までは京都以西は全て毛利家のものであったのに、萩に押し込められて我慢を重ねて来た者たちが天下を取ると、「戦争をしない国」は「戦争ダイスキ国」になってしまい、最後は米国の煽りに乗せられてひどい目にあった。
日光様は三方原の戦を見て脱糞してしまったが、義兄が大連陸軍病院から引揚げた時には、高簗の殻のようなものを食わされていたので、全員尻から血を垂らしていたそうだ。
それより70有余年「もう我慢できない。」とやった長州人の末裔もだいぶ程度が落つる。米国の植民地の首魁に大満足で、米国がコケたら子亀もコケそうだ。国家百年の計は無く、次の選挙のことしか考えていないので、迷惑を被るのは国民の子孫だ。
千秋楽結びの一番は東西横綱の決戦で、西の横綱は欧米6億人では心もとないからと、陰でロシア皇帝と内緒話をしているというに、西の横綱に尻尾を振っていると、東の横綱が四股を踏んだだけで吹っ飛んでしまいそうだ。
by dehoudai
| 2017-12-01 10:57
| ほん
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