2010年 09月 05日
スペム |
しかし沖縄人が戦後命を繋いだのも、「スペム」であり、ハワイ育ちの米国大統領閣下が、故郷のゴルフコースで召し上がるのも「スペムむすび」ということで、最早「献上品」なんである。私など宇和島屋で「スペムむすび」など見かけると、つい買ってしまうのだ。
これはスパムとはメーカーが違うが、中身は同じものだ。ただし店先に並んでいる12オンス缶ではなく、分隊用Cレーション好適品の4ポンド缶というのが悩みの種。カンカラ三線の胴がこれである。子供らがキャンプにいくかもしれないからと、理屈を付けて買ってきたのだが、その実1.81kg750円というのが面白かったのである。当分肉には困らんぞと思ったが、逆に食うに困った。元が戦闘食糧なので、アフガンの大地に3年間、雨曝し日曝しにしても痛まぬ様、やたらに塩気が強い。
最初にこれを食ったのは、横浜港瑞穂埠頭に停泊中の、米軍のリバティー船の部員食堂だった。「世の中にこんな旨いものがあるか。」と大感激で、ひと掴みかっさらってきて、物陰に隠れて食ったのだが、それ以来の好物だ。今にして思えば、当時の日本は「ビフテキ食えれば幸福」という時代だった。
先年コザのゲート前の飲み屋で「スペム喰いたい。」と言ったら、近所からわざわざ買ってきてくれたのだが、「そのまま喰う。」と言ったら、ジャングルに数十年かくれ、米軍のゴミ捨て場で命をつないでいた、旧日本兵を見る様な眼差しを頂いたことがある。
沖縄ではスペムチャンプルーとなるのだが、50年戦争を戦う韓国では「部隊鍋」なる国民食に無くてはならず、大量に消費されている様だ。こうなると沖縄・韓国・フィリピン・ハワイなどを結ぶ「米国裏庭文化」と呼んでも良かろう。
スペムむすび
裏庭文化
by dehoudai
| 2010-09-05 13:55
| たべもの
|
Comments(0)