2009年 12月 16日
小樽の波止場 |

川瀬巴水の「小樽の波止場」は昭和八年四月作とある。特別高等警察の密偵の如き画家の目は、二人の男の会話も捕えているようである。曰く「1928年3月15日を忘れるな。」と言うところは聞こえたのだが、その他の部分は×××だらけで良く解らない。昭和の初め頃のハイカラな方々はこんな絵を壁に張って、感慨に耽っていたのであろう。
川瀬巴水には他の絵の様に「作」ではなく「昭和11年2月写」とタイムスタンプを押した「芝大門の雪」と題する絵もある。その日、お気楽な女学生だった毋は「鳩居堂へ筆を買いに、」と言う口実で見物に出掛けたら、「竹橋に機関銃が据えてあった。」そうだ。巴水の絵は急報により、重臣が某所に駆けつけるところであるが、画家によれば、手前の人物はまだ事件を知らず、重臣の心中とは対照的に「その日も雪は静かに降っていた。」のだ。「芝大門の雪」「小樽の波止場」は版木が残っているらしく、後刷りがあるので、版元から購うことが出来る。
馬込の月
石段
小樽の波止場
1929
巴水の絵
巴水の浜名湖
by dehoudai
| 2009-12-16 14:01
| ほん
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