2009年 06月 13日
閉精期 |
失楽園(下)
渡辺淳一
講談社
このところ渡辺淳一さんの本が流行っているから読め、というわけで2册借りて来た。片方は斜め読みしたが、残りの一冊は読む気にはならなかった。評価対象外と言おうか、馬鹿馬鹿しいと言おうか、20歳の子供じゃあるまいし、良い歳をした大人がまたがったり、またがられたりして、何が面白いのか。
話ではなく、元が日本経済新聞社の連載というのが面白かった。一流の高校を出、一流の大学を出て、一流企業に勤め、日本経済を支えて来た人々が、「出世のため」に、生物学的には相当異常な性生活を送っているのではなかろうか、というのがあぶり出されて来る。
若い頃に女にうつつを抜かしたりしていたら、出世はおぼつかない、というわけでせっせと会社大事、役所大事に勤め上げて、相応の地位を手に入れた人々が、閉精期に至って、初めてあたふたするのだ。女にも悪が居て、こういう人々を「女の武器」で釣って、校長先生やら、大学教授やら、国会議員になったりするのであろう。
渡辺淳一さんのベストセラーはそうした人々向けの「御伽噺」なのだが、産業戦士のもっと悲壮な話もある。台湾新幹線の開通時に、日本人技術者が台北のマンションで変死した事件など、台湾の新聞には面白可笑しく取り上げられたが、日本では報道されなかったと思われる。
2006年1月9日、三菱重工から台湾新幹線の工事に派遣されていた沖野**さん(57)は宿舎のマンションで遺体で発見された。死因は急性心不全であり、室内の様子から事件の可能性は無い。ということなのだが、ベッドの傍らには使用済みのテッシュペーパーが散乱しており、ズボンを下ろしたままの沖野さんは、単身赴任の疲れを自ら慰めていたものと見られるが詳細は調査中、という警察発表があった。
日本経済新聞も、渡辺淳一さんの連載はそれで良いが、こうした事件を取り上げても良さそうなのだが、さて見出しを「忠勇なる産業戦士、壮絶な戦死」とするか、「若い頃年相応のことをして来なかった企業馬鹿」とするかで、面倒だからボツに、となるのであろう。うーん、この人も閉精期だな。
渡辺淳一
講談社
このところ渡辺淳一さんの本が流行っているから読め、というわけで2册借りて来た。片方は斜め読みしたが、残りの一冊は読む気にはならなかった。評価対象外と言おうか、馬鹿馬鹿しいと言おうか、20歳の子供じゃあるまいし、良い歳をした大人がまたがったり、またがられたりして、何が面白いのか。
話ではなく、元が日本経済新聞社の連載というのが面白かった。一流の高校を出、一流の大学を出て、一流企業に勤め、日本経済を支えて来た人々が、「出世のため」に、生物学的には相当異常な性生活を送っているのではなかろうか、というのがあぶり出されて来る。
若い頃に女にうつつを抜かしたりしていたら、出世はおぼつかない、というわけでせっせと会社大事、役所大事に勤め上げて、相応の地位を手に入れた人々が、閉精期に至って、初めてあたふたするのだ。女にも悪が居て、こういう人々を「女の武器」で釣って、校長先生やら、大学教授やら、国会議員になったりするのであろう。
渡辺淳一さんのベストセラーはそうした人々向けの「御伽噺」なのだが、産業戦士のもっと悲壮な話もある。台湾新幹線の開通時に、日本人技術者が台北のマンションで変死した事件など、台湾の新聞には面白可笑しく取り上げられたが、日本では報道されなかったと思われる。
2006年1月9日、三菱重工から台湾新幹線の工事に派遣されていた沖野**さん(57)は宿舎のマンションで遺体で発見された。死因は急性心不全であり、室内の様子から事件の可能性は無い。ということなのだが、ベッドの傍らには使用済みのテッシュペーパーが散乱しており、ズボンを下ろしたままの沖野さんは、単身赴任の疲れを自ら慰めていたものと見られるが詳細は調査中、という警察発表があった。
日本経済新聞も、渡辺淳一さんの連載はそれで良いが、こうした事件を取り上げても良さそうなのだが、さて見出しを「忠勇なる産業戦士、壮絶な戦死」とするか、「若い頃年相応のことをして来なかった企業馬鹿」とするかで、面倒だからボツに、となるのであろう。うーん、この人も閉精期だな。
by dehoudai
| 2009-06-13 20:51
| ほん
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