2008年 11月 08日
外省人 |
延安
リービ英雄
岩波書店2008
英雄君が延安の革命聖地を「赤色旅遊」しているのを、「共産党にダマされた。」とお考えの団塊世代向けに岩波書店が売り出している。
この人、美国華盛頓州生れなのだが、灣生といっても良く、それも外省人と同じ空気を吸って育った様なところがある。その後日本に渡り、日本語文学の一人者となるのだが、彼が大陸を見るまなざしには、「外省人の子供」というレンズが付いているのではあるまいか。
カミサマにしても、日本では一般大衆が昨日まで「今度天朝様と公方様が戦争をやるんだってナー」と、現今の暴走族の立ち回りを見物するような気分で、戊戌戦争を眺めていたところへ、「日本は神国であーる」と押し付けられて迷惑したのが、萩招魂社から勘定しても高々150年だ。しかし延安の更に奥地に行くと「カクメイの神様を祭る神社」が中国6,000年の伝統に従って建てられており、街の名前まで神様の名を取って志丹と変えられているなど、さすがに美軍事顧問団職員の子供のレンズは、見通しが良い。
小生も満州国引揚者の子供である。中学生か高校生の頃、親に告げずに名古屋まで「大中国博覧会」を見に行ったことがあり、その折買い求めた「毛沢東語録」が、探せばどこかに残っているはずだ。不良中年に比べ、中学生・高校生などいう生意気盛りが、洗脳するには手も無く簡単なお年頃、というのは古今を問わずである。
「黄昏的故郷」は白先勇の「弧恋花」にも通じる桃太郎時代の「唐山夕陽」であって、英雄君が大陸をさまよって、求めているのはこれではないかと思う。
by dehoudai
| 2008-11-08 11:56
| ほん
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