2008年 08月 27日
二酸化炭素排出権取引と浜松 |
天竜杉は主として建築材料に利用されてきました。田んぼがあります。栗・茶といった果樹園があります。畑もあります。竹が少し茂ってきました。
地球温暖化ということで我が国にも二酸化炭素排出権取引を導入しようということの様です。浜松市はいきなり先進国の工業都市でも工業と森林の調和という表舞台に立った訳です。
二酸化炭素排出権取引と森林認証への取り組みについて
先般、国が二酸化炭素排出権取引の導入を図る旨の、報道がありました。合併により浜松市の森林率は68%と全国平均を上回り、世界平均の30%からは2倍以上、ヨーロッパの44%の1.5倍に当ります。当市は地方都市の中でも工業の盛んな街として知られてきました。しかし近年の地球温暖化への懸念の高まりとともに、実施された合併の結果、工業と森林を両立する街として、先進国でもトップクラスの地域経営がなされうる舞台となった訳です。
しかし、そうした先端を走るものの常として、前例に甘んじていては失うもの多く、生み出すものはありません。浜松市の森林が持つ、二酸化炭素同化機能を長く維持するためには、中山間地の地域自治振興が前提となります。そしてそのためには全市を揚げて組織横断的な取り組みが必要でしょう。
排出権取引導入は絶好のチャンスでありますが、従来の施策とは全く異なる取り組みともなります。水源税の導入に見た様に、森林・緑化・環境といった施策調整の上での、国の指導を仰ぐのでは手遅れとなりかねません。一刻も早く市としての取り組みに掛かって下さい。
浜松市は天竜杉の主産地となったのですから、世界でも他に類を見ない、「森林を育てる文化」である日本文化の代表に恥じない地域経営が求められるはずです。「熊野古道」はこれまで数千年の、日本人と森林との営みの「遺産」として、新たなカテゴリーを世界遺産につけ加えました。「天竜杉」は未来に向かう先端工業と森林との関係を、世界に指し示すことが出来るはずです。
各地から浜松市の中山間地に、二酸化炭素排出権を求める企業が押し寄せるのは、時間の問題です。「真の地域振興とは何か」の知恵を絞り、頭の悪い御出入りコンサルタントの浅知恵に乗せられることがありません様に。過疎の進む町の、人影のない田んぼの片隅で,自動運転の人形が、時間になると誰も見ることの無い所作を繰り返すのを以て、中山間地の地域振興というのは、ブラックユーモア以外の何者でもありません。
by dehoudai
| 2008-08-27 11:57
| まちづくり
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