2018年 01月 09日
富士見坂 |
駅から線路沿いに東に向かうと、住宅街の中に城山烈士供養塔があります。
天正7年(1579年)徳川家康の駿河侵攻により牧野康成らに攻められ、落城。城代の三浦、向井らは揃って討死してしまうが、すぐ翌年には武田勝頼らによって再び奪い返されて再建し、朝比奈信置が城代となった。
天正10年(1582年)、甲州征伐によりまたも駿河に侵入した徳川家康により再攻撃を受け、降伏。城代朝比奈信置は久能山に退き、この際に廃城とされたと伝わる。
wiki
用宗から小坂に向かうと、東名高速のガード下に梅林がありました。まだ蕾は硬い様です。 前を行く人があるので「旅は道連れ」という格好に。同年輩と思い、聞くと丑年の早生まれというので一級上です。市内に住んでいるが正月で実家へ。免許証を返納してしまったが、子供孫に頼むのも面倒なので、昔風に電車で来たそうです。
バブルまではみかんもせっせと出していたが、今では年寄り仕事になっているそうです。急傾斜崩壊危険地域で上り下りが大変な山が、みかんには向いているのでしょう。
自宅庭先にロープウェイを降ろせれば、それでもまだなんとか。 バスは朝3本夕3本日曜休みで、タクシー会社のシールが貼ってありました。 小坂から日本坂を登る道は幅6m程の農道になっています。高齢化で軽トラックの入れないところは放棄地でしょう。しばらく登ると「麓の茶屋」みたいのがあって、地域の高齢者のお喋りの場のようです。ここから満願峰と日本坂へのハイキングコースが分かれます。 かぶせ茶というのがあるくらいで、吹きさらしでなく谷沿いに茶畑があります。 日本坂への農道脇には小坂みかんが盛んだった頃のロープウェイやモノレールの集荷点も散在しますが、中には草むしたものもあります。農道を作ればそこからロープウェイやモノレールでかなりの面積をカバーできる、という計画だったでしょうが、すぐに山に入る若者がいなくなってしまったことが想像されます。 更に登ると農道が終わり、ハイキングコースの踏み分け道となります。登り口に私の様な足弱のために枝を折って杖にしたものが残してありました。 行き交う方々はほとんどが高齢者。しかも私のような今様足弱ではなく、立派なストックを突いた今様役優婆塞みたいな方ばかりです。カップルが多く、仲が良いのか、若い頃に山で知り合って結ばれたのかと思ったら、妻が言うには「途中で何かあっても周りの迷惑にならないようにでしょ。」だそうです。
東海道鉄道が明治23年開通までの日本の「道」というのはほとんど人馬のためのものでしたから、幅6尺もあれば主要街道としての役割を果たしたのでしょう。 一息入れて振り返ると、木の間隠れに富士山が。 一面、というのでなく、風の具合でしょうか、所々に霜がうっすら。 峠近くに富士見坂となっているところがありました。木の姿は変わっても、山の形はそれほど変わっていないでしょうから、この景色は奈良時代にもこれに近いものだったのではないでしょうか。
峠には岩屋地蔵様。 岩屋というので、洞穴があるかと思うと、石で屋根をこさえてあるぐらいです。あるいは奈良時代には大きな岩屋があったかも。なかなか味のあるお顔です。 焼津側は杖突坂をつづらに下ります。 杉の植林はいつ頃始まったものでしょう。天竜杉が紀州から苗を持ってきて、元禄慶長の頃に始まったとされていますから、それより上にはならないでしょう。苗を持ってきたというと、やはり街道を下ったのではなく、船で持ってきたのではありますまいか。 下りると花沢法華寺です。現在のお堂は元禄時代とのことですが、平安時代の創建という伝もあるようです。 花沢の住宅はどのお宅も石垣が立派です。
林叟院下も同じように立派です。千年以上昔から東海道の整備を仰せつかり、そこで習得した技術を自宅に応用した人もいるのではないでしょうか。
林叟院下も同じように立派です。千年以上昔から東海道の整備を仰せつかり、そこで習得した技術を自宅に応用した人もいるのではないでしょうか。
花沢から焼津駅に行くには、現代人は国道150号のトンネル出口へ回ってしまう様ですが、一昔前まではそこはどん詰まりの絶壁でした。 自家用車の無い平安時代の人は、少しでも坂を利用して距離を稼ぐ、東下りの人は少しでもゆるい坂で屏風のような山裾に詰める、という歩き方をしたのではないでしょうか。現在では農道にしか見えない、東名焼津PAの裏を高草山林叟院へ向かう山裾の道も、平安時代の東海道かもしれません。耕作放棄地のカラスがみかんを食べていますが、街中のカラスのように腹をすかせてギャーギャーと騒ぐわけでもありません。 途中の成沢の滝不動は千年以上前に祀られた、という伝もあるそうですが、平安時代の東海道の水飲み場かもしれません。
富士見坂
by dehoudai
| 2018-01-09 14:10
| きせつ
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