2017年 10月 11日
Shanghai Girls4 |
洛杉磯にには行ったことがないが、桑港へは行ったことがある。役所では三藩市というのだろうか。米国西海岸のちょっと大きな街には必ず中国人街がある。
カナダ・ヴァンクーバー市役所課では、中国人は中国人街を作るのに、日本人はなぜ日本人街を作らないのかと、首を傾げていた。身内が集まって声を合わせれば、かなりな予算が付きそうなものなのに、なぜか声が上がらないのだという。
ジョイ・コガワが国民文学賞を取るなど日系人は実力はあるのに、不思議なのだそうだ。
中国人は国家が信用できないので「身内」しか頼れないのに対し、明治以降の日本人は文明開化がうまく行ったので、第二次大戦で500万人以上殺されても「お国がなんとかしてくれるだろう。」とまだ懲りないのが理由ではないだろうか。太平洋シアターの米軍戦死者は20万人余だ。
墜落した飛行機の搭乗員を拾いに、東京湾まで米軍の潜水艦が侵入したのと違い、「どうせ生きては帰れない。」ということで、戦場へ出ると「殺しつくし、焼き尽くし、奪い尽くす。」となってしまった。要は戦争が下手なのだね。
戦後はそれを延長するためにテレビで国民を白痴化して、「非常時には基本的人権などと言ってはいけません。」まで引っ張ってきてしまった。「そういうことは行政がやってくれるんでショ。」と、全て税金だというのに気がついていない。かくして国家予算の膨張には歯止めがかからず「戦争やってチャラ。」方面へまっしぐらだ。
私の姉の一人は満州子という名前なので、育ちがわかる。1933年寅歳だ。「今度も女だったらやるよ。」というわけで、父の親友の子供になった。
すぐ下の妹は本書に出てくる「回転花火」みたいなやつで、姉が「おばちゃんち」へ来るといつも一緒に遊んでいたが、仲違いをすると
あんたうちの子じゃないだで、私のお母さん盗っちゃいかんに。自分ちへ帰んな。
と養女になった姉をいじめていたそうだ。戌歳なので「飆」という感じがする。
本書ではもう少し事情が込み入っている。PaperBrideだけでなく、PaperSonというのもあったのだそうだ。養父に旧正月だから車夫をやれ、と言われたTomはそれに従わず、ついに喧嘩となってしまう。Tomが打ち明けたのは、彼は養父の実の子ではなく、子供を亡くした養父から、戸籍を買って息子になりすましたPaperSonだとのこと。田舎にいては暮らしが立たず、上海へ出て車夫をやったが、車夫は大方30歳までに死んでしまう、父も阿片で死んだ。在所の母や妹も今頃は餓死しているだろう。借金を返すまではタダ働きだが、米国まで来て車夫だけはしたくない。
上海で車夫になるまで住んだ田舎の家では、家の前に魚を飼う池があり、村人が魚を捕っても怒らなかったこと、毎年牛を二頭育てたこと、などが語られる。
農家の池は
市区改正が年を動かす
青井哲人
編集出版組織体アセテート
大阪市立大学工学部建築デザイン気付 2006
に詳しい。
PearlはTomに身の上を、そして一人ではできないが、二人で力を合わせればこの苦界から逃げ出せる、という話を打ち明けられ、体を許す。矮猿のために、子供ができないかもしれないと告げつつ、JoyがTomの子ではないことは隠している。
回転花火である妹は回転数を上げ、映画に出演する。通行人のエキストラからたちまちセリフをもらい、次々と銀幕上で回転し始める。中国人俳優のフィクサーみたいなのが出てくるが、フーマンチューみたいなやつかもしれない。彼も傅満洲博士というから、満州に関係があるのだね。
by dehoudai
| 2017-10-11 12:24
| ほん
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