2017年 03月 21日
未来永劫戦後で結構 |
戦争x文学 18
集英社 2012
明治以降の日本語文学を収める。日本語文学という枠なので、翻訳文学によって補わなければならないだろう。韓国語・朝鮮語・台湾語・中国語では、戦争について膨大な著作がされているだろう。翻訳文学によって一端を垣間見ることができる。
同じ時期、あるいは日本による領有期に端を発する、1945年以降のことどもについて扱った映像作品では、不可避的に日本語が使われ、映像とともにある程度理解できる。総督府模範竹林と同じテーマは李喬の小説「寒夜」では清末の出来事として描かれているのではなかったか。「그때 그사람들」で描かれたように朴正煕大統領暗殺事件の時、朴正煕と金載圭の最後のやり取りが日本語だったのも納得できる。
こうした映像作品には力作が多い。
などはそうした映像作品だ。
中には「海角7号」のように、吹き替え版が作られて、ある程度ヒットしたものもある。日本の芸人さんが「ちょいと海外公演」と言えば、韓国・台湾が手軽なのは、戦前から培われた人脈で、制作が楽なのだろう。
本書収録の戦中発表された本島人による日本語文学は、明るく痛々しい。その辺りを映像で描いたのは「紫色大稻埕」の中の「榮譽的軍夫」のエピソードだ。
第二次大戦後、勝者の連合国によって
日本は民主主義を
朝鮮は内戦を
台湾は戒厳令を
授けられた。
朝鮮・韓国・台湾にはいまだに戦後がやってこない。日本のみが平和と民主主義の戦後を楽しみ、繁栄してきた。
この平和と繁栄は、米国の法的・経済的・文化的植民地としてであった。植民地は現地住民の福祉ではなく、富の宗主国への移出のために経営される。
どうもアベシンゾー君など「戦後の総決算」と称して、米国の法的・経済的・文化的植民地から独立するのでなく、単に「戦後」を次なる戦争のための「戦前」としたいだけのようだ。米中決戦の折には731号機に乗って中国に生物化学兵器による攻撃をするのが望みではなかろうか。
「戦後」が「戦前」になりつつあるのは、日本に限ったことではない。Independent紙には
なる記事があった。
殺戮よりも外交と通商の静けさを破った第一次大戦
米国の孤立主義と独ソ不可侵条約、
罠にはまったチェンバレンの「平和の時代を」
ウクライナ情勢が引き起こした西欧とロシアの対立
2014Tme Mag:第二の冷戦
イスラム国とシリアを焦点とする中東の混沌:
トランプによる米国のシオン同盟への参加
イラク侵攻により派遣を確保するためには、これに続く
Syria, Libya, Afghanistan, Pakistan, Somalia, Yemenへの介入、
独裁者を倒したものの、後に残ったのはジハード天国
明らかになった米中対立:日中の緊張
10年以内に南シナ海で米中不測の事態が起こることは確実、
などなど。参考書の紹介。
第一次大戦は当時「世界最終戦争」と呼ばれたそうだが、吾人は未来永劫戦後で結構である。そのために戦後の総決算は、
日米地位協定による憲法の改悪
でなく
憲法による日米地位協定の改正
を願うものである。
by dehoudai
| 2017-03-21 12:20
| ほん
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