2015年 11月 15日
場の力、人の力、農の力3 |
不安な質問
演出 松川八州雄
撮影 瀬川 順一
音楽 間宮 芳生
録音 弦巻 裕
映画監督というのは創造主であって、ドキュメンタリーなのかヤラセなのかなど、どーでもいいことなのだ。私は農場建設の様子を記録しておけと、監督から預かったムービーカメラで、高価なフィルムの無駄遣いをしていた。
さて出来上がってお披露目をしようという段になって、議論の種になったのが上掲のイラストだ。
「鹿の子國」とあるので、地元農家と共同して「有機農業」を広げよう、と考えていた人たちは、さぞかしぎょっとしたことだろう。手前が水面になっているのは、敷地から土器の破片が出てきたことがあり、縄文海進期にはここが水辺だったこともあるだろう、そうして水底に蓄えられた有機物が、やがて豊葦原瑞穂國を作ったのではないか、というイメージなのかもしれない。
ところが一年を通じて、田んぼの水管理が人生であるお百姓にしてみれば、これは「浸水」「水没」の情景としか見えない。
そして中央に翩翻と翻る旗にしても、
オメーラ何だ?アカハタか?
から
砦の上に我らが世界
まで、見方によって千差万別だ。それを喧々々々諤々々々と果てしもなく議論していたのだから、膨大なエネルギーだ。今見ても当時の世話人会のプリントの束にはオーラが漂っている。
昨日・本日の新聞を見ると「パリは燃えているか?」という状態であるが、霞ヶ浦の周りが豊葦原瑞穂國になった頃から、この列島は八百万神のましますところであり、あれも神さま、これも神様で構わないのだ。
松下村塾の若者はナポレオンが強かったのを見て、18世紀の欧州絶対王朝の真似をして「神国日本」を作り上げた。あれは「宇宙のすべては神様が一週間で作った。」という迷信が根拠なので、最後は戦争になってしまう。あれも神さま、これも神様の方が、これからの地球の健康には良いのではなかろうか。
TPPと称して欧米式のプランテーション農業・水産業の波が押し寄せつつあるが、あれもどうも
豊年満作 天下泰平
という八百万神のまします国の作法とは、対極にあるものと思われる。プランテーション農業の結末は戦争であり、天下泰平とはならないのだ。マルクスさんとレーニンさんが国家共産主義を作り出す前の、英国におけるコミューン主義の方が八百万神の豊年満作天下泰平とよく馴染むのではなかろうか。
詩聖ワーズワスを慕ってラスキンが湖水に別荘を建て、弟子のベアトリクス・ポターの農場がナショナルトラストの発祥地になる、という流れだ。2.26の皇道派青年将校ではないが、悪いのは世界征服を企む資本主義だ。
吉野ケ里国の人口が2万人程というが、鹿の子國ぐらいの国もあって良いのだ。
by dehoudai
| 2015-11-15 13:48
| まちづくり
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