2014年 03月 10日
4回忌 |
本日は東京大空襲の69回忌、明日は東北大震災犠牲者の4回忌、明後日は近代科学技術の4回忌だ。福島県では震災の被害者を「関連死」の犠牲者が上回ったそうだ。困ったことに近代科学技術が死んだことに気付かない人が多すぎる。
誰が近代科学技術を殺したかと言えば「自分で考えないもの達」と言えるだろう。学ぶというのは教科書を丸暗記することであって、そこで得た知識を元に、眼前の事象に付いて考える、という能力に欠けたものが多すぎる。明治の文明開化の後遺症でもあろうが、ひどくなる一方だ。
3年前の東電事故の折「想定外」という言葉が専門家の口からあふれた。教科書に書いてないことを想定出来ない人々が、この国では専門家として重用されている。
その裏側には経済活動がある。井野博満東大名誉教授は東電事故直後の全電源喪失は津波によるもの、という見解に対して疑問を提起している。地震によるものでなく、津波によるものであれば、地震はあっても津波の無い所であれば、原発立地が可能、という筋書きだ。
全国どこででも見掛けるテトラポットが、被災地の海岸を埋め尽くしつつあるのだろう。同じことが天竜川河口でも行なわれている。天竜河口は多年の天竜川からの流下土砂で砂浜が発達して来た所だ。それが近年砂浜が浸食されて、砂丘がやせ細りつつある。
天竜川にダムが作られて、砂の供給がストップしてしまったためだ。これまでに作り上げられた砂丘は、河口付近では幅200mを超え、旅かさなる津波に対しても被害の軽減に役立って来た。
その砂の供給がストップしてしまったため、津波被害はこれから深刻になることが想定される。河口付近では「養浜工事」と称して砂丘の復元を行なって来たが、現在これに津波被害の軽減、という目的で予算が追加されている。
しかし現在、佐久間ダムの貯水量3.27億㎥の80%近くが堆砂で埋まっていると言う。砂の比重が2.5だとすれば、6.5億トンだ。10t車に換算すれば6,500万台となる。年間1万台ずつ運んでも、6,500年掛かる勘定なのだが、他に手は無いのだろうか。
天竜川流域でも戦前の小規模発電所を見掛ける。掛樋水車の様な仕掛けだ。富士宮などにも同じ様な古い発電所があって、可愛いたたずまいを見せている。どうも巨大技術というのに問題がありはしないか?
明治の文明開化の折、仙台ではオランダから築港の世界的権威を招聘して、新港の建設に取りかかった。ところが現場の自然環境が、世界的権威の知るものとは全く違っていたため、10年程巨額の予算を費やした後に、世界的権威は逐電してしまったそうだ。
安積疎水も同じ筋書きで、先進国の優れた技術では手に終えず、結局地元の石工の知恵で完成されてそうだ。どうも東北には地元の知恵を無視して、東京の猿知恵で巨大開発を行なって失敗、という事例が多いのではなかろうか。
日本の水際の2/3が人工物だそうだ。何が何でもテトラポットの離岸堤、という姿を見ると、同じ轍を踏みそうな気がする。現地の歴史から導きだされる知恵を育てること無く、東京の猿知恵を頭ごなしに押し付けるのでは地元住民はたまったものでは無かろう。原発が欲しければ東京都内の、御台場の辺りにでも作れば送電ロスも無かろうに、事故が起きた所で地方のことなどどうでも良い、という姿が丸見えだ。テトラポットにしても効果があるかないかは二の次で、お出入り業者が潤うだけ、という発想に思える。
by dehoudai
| 2014-03-10 13:29
| きせつ
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