本日
ジョン・F・ケネディ氏の50回忌だ。小生は疑義を確かめに浜松市博物館に行って来た。片道一里なので、散歩にはちょうど良い。山の上には金持ちの豪邸、谷間には貧民のアパートならば、東京で言えば池上線・自由が丘辺りと同じだ。
この辺りしばらく前までは松山だった。蜆塚中学裏にある
屋敷の改修を手伝ったことがあるが、元の持ち主は「庭に赤松を植えて、松茸狩りがしたい。」という計画だったそうだ。
斜面にはかろうじてそうした緑地が残り、都市環境の悪化を防いでいた。それがバブルの頃から法網をかいくぐって「斜面型マンション」なるものが立ち始めて、斜面緑地を蚕食し、この20年程で救い難い「全面住宅地」になってしまった。その斜面型マンションも、バブル崩壊とともに空家が目立つ。
「一生働いて夢のマイホーム」というのが日本人のライフスタイルになり、子供もそうした家庭環境で育てられるのだ。引っ越して来た子供が書いたのだろう、道路には床面積100坪くらいの巨大住宅が描かれていた。キッチン廻りにリキが入っている。
丘の上のモダンハウスも、それぞれに装いを凝らしてはいるが、
敷地に限っていえば「屋敷はなくとも家は建つ」という、江戸の場末の貧民窟の如しだ。
下図は東京都文京区白山近傍
山手町は山神社の氏子なので、山手町と付けたのだろうが、昭和40年代の開発地も、なかなか建替えが進まない。
南側を壁にして、監獄の様な窓を並べているのは、昼間人気が無くて不用心なのだろうか。
蜆塚遺跡は元々が山奉行の差配で、山神社の裏から出る石灰は、百姓が御奉行様の眼を盗んで畑に撒いていたものだ。博物館の敷地は谷間の竹薮で、高校時代に工芸の課題で「花入れ」というのが出たら、ここの竹薮までノコギリ持参で孟宗竹をかっぱらいに来たものがおった。
訊ねた相手は本庁の課長補佐になっていて、再び一里の道を辿ったのである。
「澤の金魚屋」というのは戦前からある「浜松市民のディズニーランド」だったのだが、池を埋めて、マンションと駐車場になっていた。
高町の坂を上がったこの辺りには、まだ「町の入口」という雰囲気が漂っている。
松城町にある「
馬冷池の家」なのだが「馬冷池だったのだから、壁を彫り込んで新宿駅から「馬の水飲み場」をかっぱらって来て、埋め込んだらどうか。」という提案は、予算が無く却下であった。
1998年から佐鳴湖西岸の開発地に地区計画を取り入れよう、という話があり、お手伝いをした。都市計画法の中で、トップダウンではなく、住民からの発想で都市計画の基準を決めるという、面白い制度だったのだが、担当者が一生懸命やっても、硬直した行政機構の中で孤立してしまう。
「全ては法律に定められている」という教科書主義のなかで「自分たちで教科書を作る」というのはなかなか受け入れられない。
優れた教科書があれば、それでも参考になるのだろうが、中央官庁のお覚え目出度い、お出入りコンサルが素人だと、噓が書かれた教科書がまかり通ってしまう。「コレハイケマセン」と実感したのは下の図だ。素人が見るとつい騙されてしまうので、質が悪い。本文の記述と、パースが合っていないのだ。それらしく書いてあるものの、後側にたっぷり距離を取った、敷地面積を推定すると200坪程だろう。
ベンツの大型車に似せて書き込まれた車は、軽自動車程度の大きさしかない。パースの書き方を知らないものが、誤って書いたのなら失笑だが、仕組まれたものなら詐欺ではないか。
マンションのパースで一時流行った、壁を低い位置で切り、2尺の座卓に子供が学校で使うクッション程の座布団を並べる、というのと同じ技法だ。
大方は建築設計の素人である地権者は、都市計画法の面倒な本文の説明は頭に入らず、この手の噓が書かれた教科書通りに、サンプル通りの地区計画に賛成してしまう。
2004年から地区計画の手伝いを2カ所でやった。いずれもマンション反対から始まった話だ。住民側からは「マンションが建ちそうだから、行政が何とかしてくれ。」という訳だが、行政側からすれば「マンション反対の手伝いは出来ない。」のであって「地区計画で「マンションは建てないようにしましょう。」という地区計画は出来ます。」ということになる。
ほじくって行くと都市計画法の定める「第一種中高層住居専用地域」にたどり着く。既存の低層住宅地であっても、中高層マンションを建てることが出来る仕掛けだ。面積的に市街地のかなりの部分を占める。
住民サイドにも自分の土地を地上げして欲しい資産と考える人もあって、開発業者に付け込まれる。特に昭和40年代以降の開発住宅地では「わが町」という意識が希薄なのだろう。
ここをどうにかしないと地区計画もまとまらないだろう、という想いから「わが街の絵本」はどうかという提案もしてみた。しかしそんなことはどうでも良いから、降り掛かる火の粉を払いたい、という向きが強かった様だ。
絵本の下書きを今見ても、面白くない。実際にそこに住んでいる人が手を入れないと、魅力的なものは出来ないのだ。
地区計画の住民説明用の資料には、同じ挿絵が相変わらず使われていた。
山手町の空山手町のまちなみ市営住宅の跡地が心配地区計画は面白い
by dehoudai
| 2013-11-22 17:36
| まちづくり
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