2013年 03月 29日
雲 |
小説
雲
明治41年9月 文藝倶樂部
青空文庫へ送稿。
長谷川時雨女史が「かなくそぶとり」と結婚させられ、釜石に移り住んだのは明治30年。大海嘯の翌年であった。この小説からは自身の精神状況と、大海嘯に続く洪水被災後の地域の精神状況が、重ねて読める。
図は福島県のある町で「おやしき」と呼ばれていたお宅の遠景。本書に描かれた「大盡樣」にも似た、幕藩時代の藏役人の邸宅。それまで地域社会環境に対する責任を自認し、それなりの待遇を与えられていた人々は、御一新の地券発行で、丸裸にされて「自活」しなければならなくなってしまった。
周囲は等級の出ない「汐入田」の「泥田」で、元はと言えば伊達藩が波打際に作った浜街道維持の為に、無理矢理街道筋に百姓を貼付けた様にも見受けられる。
「お屋敷」のご子息は隣接市で診療所を開業されていたが、お屋敷に残された御母堂の救助に向かって、共に津波に流されてしまったとのこと。
by dehoudai
| 2013-03-29 12:50
| まちづくり
|
Comments(0)