2012年 06月 14日
姿勢を正しく |
しばらく前から
Zen Mind, Beginner's Mind
Shunryu Suzuki
Weatherhill 1973
を読み始めた。新幹線の中で暇つぶしにゲームをやるのも無駄だ、という消極的な理由からだ。
ところがこの本は正にそこから説き始める。
新幹線の座席でゲームをやり続けていると、次第に身体が痛くなる。身体の向きを変えるとそこは楽になるのだが、しばらくすると別のところが痛くなる。あれこれ姿勢を変えていると、次第に身体は背もたれを頼りに、蛸の昼寝といった態を成して来る。
新幹線の座席は近代科学の粋を集めて、長時間座っていても疲れない様にという配慮がされているはずだ。それでも身体は次第に痛くなって来る。近代科学の粋にも限界はあるのだ。
ところが鈴木俊隆老師の「禅、初心」を繙くと、いきなり。「姿勢を正しくしましょう」「正しく座る事が仏教です」とある。以下様々に解説されるのだが、なるほどと納得させられる。
動物は身体の先に口が付いていて、これで食物に噛み付く事で食物摂取を行なっている。しかし顎の筋肉を強くする事で生きる、という代わりに色々と工夫をする動物も居た様だ。
工夫をする為に脳の体積が増大し、今度は脳を身体の前方にぶら下げておく事が困難になって来た。重量の増した脳を身体が支える為には、後ろ足で立って頭を身体の上に乗せるのが一番合理的、というのが直立猿人の誕生につながった、という説があるそうだ。お経の文句で言えば
なるほど新幹線の座席に座っていても、背もたれに寄りかからず、上半身を垂直に保っておれば疲れにくい。
近代科学と言うと「道具に頼る」ことが進歩の様に見える部分があるが、「姿勢を正しく」することの方が、道具に勝っていることもある。「道具に頼る」ことが蛸の昼寝になることだってあるのだが、蛸も結構疲れるのだ。
文明開化以来"Liberty"とか"Freedom"とか言う言葉に引きずられて、「自由」という言葉が歪められている様な感じがする。もともと「自由」というのは「自」らに「由」ることであって、「道具などに頼らない」ということだったのではあるまいか。
異人ペロリが江戸城に土足で乗り込み、疊の上に椅子を置かせて以来、日本の疊文化の衰退が始まるのだが、それまでの日本人は疊の上で姿勢を正しくする方が疲れないことを知っていた。
Beginners's Mind
Zen Mind, Beginner's Mind
Shunryu Suzuki
Weatherhill 1973
を読み始めた。新幹線の中で暇つぶしにゲームをやるのも無駄だ、という消極的な理由からだ。
ところがこの本は正にそこから説き始める。
新幹線の座席でゲームをやり続けていると、次第に身体が痛くなる。身体の向きを変えるとそこは楽になるのだが、しばらくすると別のところが痛くなる。あれこれ姿勢を変えていると、次第に身体は背もたれを頼りに、蛸の昼寝といった態を成して来る。
新幹線の座席は近代科学の粋を集めて、長時間座っていても疲れない様にという配慮がされているはずだ。それでも身体は次第に痛くなって来る。近代科学の粋にも限界はあるのだ。
ところが鈴木俊隆老師の「禅、初心」を繙くと、いきなり。「姿勢を正しくしましょう」「正しく座る事が仏教です」とある。以下様々に解説されるのだが、なるほどと納得させられる。
動物は身体の先に口が付いていて、これで食物に噛み付く事で食物摂取を行なっている。しかし顎の筋肉を強くする事で生きる、という代わりに色々と工夫をする動物も居た様だ。
工夫をする為に脳の体積が増大し、今度は脳を身体の前方にぶら下げておく事が困難になって来た。重量の増した脳を身体が支える為には、後ろ足で立って頭を身体の上に乗せるのが一番合理的、というのが直立猿人の誕生につながった、という説があるそうだ。お経の文句で言えば
人身得ること難しという訳だ。
なるほど新幹線の座席に座っていても、背もたれに寄りかからず、上半身を垂直に保っておれば疲れにくい。
仏法値うこと稀なりというと大変難しいように聞こえるが、とりあえず長時間新幹線に乗らなければならない時に、姿勢を正しくしておれば蛸の昼寝より疲れないことが理解出来た。
近代科学と言うと「道具に頼る」ことが進歩の様に見える部分があるが、「姿勢を正しく」することの方が、道具に勝っていることもある。「道具に頼る」ことが蛸の昼寝になることだってあるのだが、蛸も結構疲れるのだ。
文明開化以来"Liberty"とか"Freedom"とか言う言葉に引きずられて、「自由」という言葉が歪められている様な感じがする。もともと「自由」というのは「自」らに「由」ることであって、「道具などに頼らない」ということだったのではあるまいか。
異人ペロリが江戸城に土足で乗り込み、疊の上に椅子を置かせて以来、日本の疊文化の衰退が始まるのだが、それまでの日本人は疊の上で姿勢を正しくする方が疲れないことを知っていた。
Beginners's Mind
by dehoudai
| 2012-06-14 10:53
| ほん
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