2011年 04月 18日
K-3520 |
流体力学の理論にそって、整形された一個の陶器の上にタンクが乗っており、これで「水で洗う」という機能を見事に実現している。
その後日本では1990年頃まで、産業近代化が進んだが、米国では産業近代化は既に終わり、1970年頃から実体経済が金融経済に飲み込まれる、という推移を辿っている。Wellworthでは私が知った頃の水洗ヴァルブには、銅の薄板を整形した球形のフロートが付いた立派なものだったが、先ずフロートがビニール製になり、現在ではヴァルブ・アッセンブリ全体が更に合理的、かつみっともないものなっている。
現在米国ではそうしたローコスト化が進んで、売れ筋の便器は定価$300-$500ながら、メーカーはかろうじて利潤を上げているのだろう。この間に日本では産業近代化の勢いは止まらず、便器には改良に改良が加えられ、暖房温水便座・センサーリッドオープナー・ワイヤレスリモコンタッチパネルが付いたものが30-50万円で売られている。
これはいかんと気づいたKohler社が、日本メーカーに倣って暖房温水便座・センサーリッドオープナー・ワイヤレスリモコンタッチパネル付のハイテク便器を$6,400で売り出した、という記事がGizmodoに載っていた。もっとも米国では売れるかどうか、疑問ではある。
日本メーカーのやった事は、流体力学の理論にそって整形された一個の陶器が、水で洗う、という機能を実現していた水洗便器をばらして、陶器は汚物に接する部分だけにとどめ、便器の殆どの部分をプラスチックにした事だった。便器全体が整形された一個の陶器で出来ておれば、ヴァルブの補充さえあれば75年ぐらいは持つだろう。
しかし50年ぐらいすれば構造的に劣化してしまうだろうプラスチックで便器の構造部分を作ってやれば、20-30年で汚くなり、20-50年で消費者の皆様は新しい便器に買い替える事が出来るのだ。それに各種付加価値を付けて、用便という生物学的行為に「経済効率」を持ち込む事に成功したのだから、日本の技術も大したもんだ。
by dehoudai
| 2011-04-18 11:43
| まちづくり
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