2011年 02月 13日
斜面緑地 |
浜松城はいわゆる平山城と呼ばれる作りで、自然の地形を利用しています。今で言う斜面緑地です。そして美術館が所蔵する広重の浮世絵に見る様に、かっては深い緑に包まれていました。しかし現在では街中から城を望むには、マンションの屋上にでも上らなければ困難です。
上の写真でちょっと気になるのは手前の木立です。中央図書館南側のこの木立、左のちょぼちょぼした部分を除き、こんもりしたところは、現場で見ると200平方メートルも無い程の土地に、これだけの木が茂っているのです。現代の浜松は、日本を代表する地方工業都市であるにも拘らず、200平方メートルの木立を残すのがやっとなのですね。
幕末明治に日本を訪れた欧米人は、江戸について、「人口100万の大都市にも関わらず、都心にこれだけ豊かな緑が大切にされている都市は、他には無い。」と驚嘆の声を上げています。
同じことは当時の浜松についても言えます。
左図は
「新町裏」
「板屋町裏」
明治39年頃の伊藤弥恵治のスケッチ(中央図書館にコピーがあります)です。
東海道沿いには町家が並ぶものの、一歩裏に抜ければ、今の郊外集落と同じ様な景色が広がっていました。広重の浮世絵で旅人が焚火に当たっている様な景色が、市街地を取り囲んでいたのです。
先日の「浜松城公園の歴史ゾーンを考える市民フォーラム」によると、中央図書館南側の木立は、浜松城出丸跡で、南側には堀の構えがあった様です。今建設中のマンションの奥に見える急斜面は、掘の跡なのですね。
天守閣の整備もさることながら、大手門から奥の御城内では、残された緑を大切にするとともに、現在開発されてしまた土地であっても、入手可能なものは公園用地として買い取り、広重の頃のお城を囲む深い緑を復元すれば、それがそのまま中心市街地を豊かなものにすることに、なるのではないでしょうか。
浜松城
by dehoudai
| 2011-02-13 21:30
| まちづくり
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