2010年 01月 11日
馬鹿法 |
悪法も法だが、馬鹿法は法だろうか。
建築基準法28条の2という馬鹿法が数年前に出来て、人の住む部屋には、24時間換気をしなければならなくなった。最初にこの法律が作られるきっかけになったのは、世界中の石綿の殆どを生産していた「ミネソタ鉱山鉱物会社」すなわちスリーエムが、社名の由来である、ミネソタの石綿の山を掘り尽くして、廃坑となる日が近づいた頃、それまで取り上げられることの無かった、石綿の発がん性が取りざたされるようになってからだ。
スリーエムは50年以上も前から、発がん性には気付いていたにもかかわらず、多年生産を続け、廃坑後の従業員補償、地元補償が必要になると、どこからとも無く石綿の発がん性が、新聞紙上に見られる様になり、企業業績から見て、これまでの企業責任を強く問うことも出来ないまま、世界中に石綿の発がん性が明らかになった。
我が国でもそれまで「燃えない建材」として大量に消費されて来た石綿は禁止、同時にホルムアルデヒドなど、人体への影響が懸念される合成化学物質を、石綿同様禁止したらどうか、という議論が高まった。いわゆるシックハウス問題である。
新建材を使うな、というところから出発した新法制定は、当然ながら新建材メーカーから総反撃をくらい、「新建材は使うな。」だったはずの法律は、出来上がってみると「新建材を使う場合、換気扇を付けましょう」というものになってしまった。新建材メーカーと換気扇メーカーの政治献金の賜物とも疑える訳で、検察庁特捜部は「誰かがいい歳をしてばあさんに小遣いをもらっていた事件」だの「蝦夷の末裔の政治家が、蝦夷の末裔の土建屋に上納金をねだった事件」などをほじくるよりも、「建築基準法28条の2制定に到る、新建材メーカーの政治献金の流れ」でも明らかにした方が、国民の日常生活の、安全性の向上に資するのではないかと思われる。
現行の建築基準法28条の2は、ホルムアルデヒドを使わざるを得ないグラスウールなど、新建材を使うことはやむを得ないので、その代わり24時間換気扇で室内の汚染空気を屋外に排出しろ。という仕掛けになっている。この法律のおかげで全ての建物は化学物質の汚染源とならざるを得ないのだ。
「先進国の優れた文物を取入れよう」という文明開化の精神は、劣等感のかたまりの如き高級官僚にも色濃いらしく、建築基準法28条の2も米国の"Grenn Building Act"の受け売りなのだろう。「外部空気」は「新鮮空気」だなんて、米国の片田舎選出連邦議員の発想が、人口ちゅう密なる我が国に持ち込めば、有百害無一利なんである。
その米国では昨年来、東部中部のかって「世界の工場」だった地方を中心に「学校周辺の大気汚染」の声が上がっている。最早彼の国でも「外部空気」は「新鮮空気」ではないのだ。
新建材と24時間換気扇で、全ての建物を化学物質の汚染源となす建築基準法28条の2も、先進国の優れた制度に習って朝令暮重屋上屋だろう。
by dehoudai
| 2010-01-11 11:05
| まちづくり
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